2021/12/02 17:29


ラララ、メーメー、ハレルヤが響く北九州の丘の上で



新緑がまぶしい爽やかな日、今日は噂の羊に会いに行こう。

鳥のさえずりが案内する丘の上にゆけば、街中ではみられないモコモコの羊ちゃんと、やさしく勇敢な歌を歌う羊飼いに会うことができる。

空に伸びたアスファルトの道はいつの間にか緑の風景。

街をすっきりと見渡すひそかな丘の上で、羊のmomoちゃんと飼い主の大宮香織さんが出迎えてくれた。


ひっそりした場所にまぶしいほど明るいアート空間



北九州を拠点に日本のクリスチャンアーティストとして歌を披露する大宮香織さん。彼女の音楽には、眠っているクリスチャンの信仰を揺さぶり起こす不思議な力がある。これほどまでにやさしく勇敢な歌はどこから生まれるのだろう。

居場所を訪ねてみると、彼女はまだよちよち歩きのお姫様を肩にぶら下げ、一頭の羊と家族のように過ごし、信仰を共にする伴侶と共にとっておきの場所を築いていた。

仙台で生まれ育った香織さんは、自然の中で過ごすことには慣れているのだそう。だからだろうか、そこらあたりに咲き散らばる草花を上手に使って、美しく手慣れた様子でもてなしてくれる。テーブル上のグラスやカップ、スイーツたちが今にも歌って踊り出しそう…!

しばらく座っていると、この場所に存在する全てのものが神を賛美している、そんな気がしてきた。


小さなアトリエ 『紡ぎ歌』



フェンスの入り口から緑がふさふさと広がり、坂の上には十字架が掲げられた小屋が建てられ、アトリエと家の教会を兼ねている。

中には羊毛を紡ぐ糸車(スピンドル)があり、羊毛アートの小道具たちが壁や床、天井に広がっている。スピンドルハウスという名前の小屋は「神様と人、人と人を紡ぐ」という意味が込められている。そして羊のmomoちゃん専用の入り口と空間も。家族の一員であるしるしだ。




緑と風と日光が何の妨げもなく通過する場所を巧みに活用して、どんな人でも和やかにしてくれるコミュニケーションの場。

自らの手で積み上げてきた創作空間から、家族一人一人の思いと信仰が伝わってくる。

これからは羊毛創作にも力を入れ、腕を磨いていくのだそうだ。



やさしくて勇敢な賛美の土台


クリスチャンボーカリストである大宮香織さんは自ら作詞作曲を手掛けている。その歌には香織さんにしか表現できないやさしさと、誰にも真似できない魅力が混在する。

高校、大学、マスターコースと音楽専攻という険しい訓練のもとで洗練された、声楽技法を土台とする歌声。舞台の上で自ら伴奏を弾きながらも支えのある声で空間を響かせ、語りかけるように歌う。香織さんの音楽空間で体感する波打つ感動にはこうした技術が基盤にあり、これに加えてことばで伝えられる歌詞とメッセージが大きな役割を果たしている。

2013年に発売されたファーストアルバム『しあわせのおきて』では聖書のみことばを歌い、香織さん自身が日々の中でささげてきた信仰の告白を歌っている。聞いているうちにそれらの歌は私自身の信仰告白へと変化してゆく。



香織さんの賜物であろう豊かな感性は、身近な自然の中で造り主の存在を見いだし、そして人生の中で経験した喜びと悲しみは、誰もが共感できることばとなりメロディーになる。それがやさしくも勇敢で、説得力のある歌になる。

数人の仲間たちとコンビネーションを実現し、香織さんの感性と霊性の集合編ともなる2枚目のCD『Life is Beauriful』。第一子の娘を出産と同時に天国へ見送った彼女は “神によって生かされている、当たり前ではない命の尊さ” を奥深く悟る日々のなかで次々と賛美を綴っていった。



いつかきっと出会える3枚目のCDは、二番目の娘と羊の娘momoちゃん、そして牧師である旦那様と足並みそろえてアトリエ“紡ぎ歌”の中で生まれるのかな。

……また遊びに行かせてください。